戦争の勝敗のカギは補給にあった『補給戦―何が勝敗を決定するのか』
『補給戦―何が勝敗を決定するのか』を読みました。
この本は、軍事について書かれたものにしては珍しく、兵站を扱うものだったので手に取りました。
内容紹介
ナポレオンの戦争から第二次世界大戦の電撃戦やノルマンディ上陸作戦といった代表的な戦闘を補給の観点から分析しています。
私がこの本を読んで印象に残ったのは4つ
- 人数が多ければいいというもんじゃない
- 自動車が登場するまで、一番必要だった補給は馬の飼い葉
- 戦争中の補給は現地調達が主流
- インフラは補給の鍵
私は今まで、中世や近世の戦争とは数さえ多ければ勝利を導けるものだと思っていました。
ですが、実際は違いました。兵士を集めると、その分食料が必要になります。1人が兵士として活動するには3000カロリーが必要になり、戦時下では数万人分必要になりますので、用意する食料の数は膨大です。
そのうえ、食料を前線に運ぶには、馬が必要になりますので馬の飼い葉も用意しなければなりません。そう考えると、もう運ぶのなんてやってやれません。
これほど兵站に力を入れる必要があるならば、戦争の勝利のカギは人数を確保するよりも、いかに補給をすることができるかに懸かっているといってもいいでしょう。
ならば、どうすればてっとり早く補給を確保することができるか。それは、現地調達です。
目的地までに街があり、軍にお金があるならば平和的な調達ができていたでしょう。ですが、お金がない場合だと略奪が起きてしまいます。ただ、これは仕方のないことかもしれません。当時の兵士は、頭よりも肉体に自信のある方々がなる職業だったので、素行が悪いのです。
食料確保が不安定になるため、できるならば現地調達を避けるのを目指していたようですが難しかったようです。現地調達を頼るのは、戦争につきものなのでしょう。第二次世界大戦のドイツ軍も占領地の自動車を鹵獲する計算で、機械化歩兵を編成していたようです。
感想
反省。
この本を読む前に、西洋の戦争史を勉強しておくべきでした。
せめて戦争の流れ、地理、戦闘の結果くらいは知っておかなければ、楽しめません。
世界史と地理に疎すぎるせいで、補給戦よりも固有名詞を追うのに必死になってしまいました。ダメですね。
内容は面白いのに、基礎知識がないせいで十分に楽しめない。これは悔しいです。
世界史の勉強してから再挑戦します。受験生用の薄い問題集でも買いましょうか。
しかし、まさか高校時代に世界史ではなく日本史を学んでいた弊害がこんなところに出てくるとは……
今回の教訓は、教養がないと楽しめないこともあるということです。
- 作者: マーチン・ファンクレフェルト,Martin van Creveld,佐藤佐三郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 232回
- この商品を含むブログ (74件) を見る