プロの文章はどのように考えて書かれているのか 『<不良>のための文章術』
『<不良>のための文章術』を読みました。
サブタイトルが「書いてお金を稼ぐには」となっているように、書いてお金を貰っているプロが、文章で気をつけていることについて書かれています。
本書を読んだ理由は、プロになりたい訳ではありませんが、美しい文章の書き方とは違う文章術が知りたかったからです。
本書の構成は
- プロの文章の書き方と考え方
- 本の紹介文の書き方
- 取材して書くグルメ記事の書き方
- コラム・エッセイの書き方
となっています。
今回は第一章の中から抜粋した、プロの文章はどのように書くのか、その考え方を紹介したいと思います。
Photo:4th Grade Essay By Saleet Arham
読み手を意識する
アマチュアの文章が「書き手」から発想するなら、「読み手」から発想するのがプロの文章です。
プロが文章を書くにあたって、一番気にするべきことは、読み手を意識することです。
アマチュアの文章は、読み手を意識せずに書き手を主体にしていることがほとんどのようです。自分を表現した文章であることが多く、読み手を意識していないため、面白くない、全く役に立たないとのこと。
そのような文章に対して「自己陶酔たっぷりのカラオケをむりやり聴かされているようなものです」とまで書かれているので、プロからすると相当辛いものなのでしょう。
そういった文章を書かないようにするためには、読み手にとって役に立つ情報は何か、何を一番知りたいのか、から考えましょう。
これをつねに意識することが、自己満足の文章から脱却する第一歩です。
たった一人に向けて書く
読み手の存在を意識した後は、具体的な読み手をイメージします。
読者が大勢いたとしても、大勢で一斉に読むわけではないので、一人に向けて書いたほうが文章が書きやすくなるからです。
では、その一人とはどのような人にするべきでしょうか。
自分のターゲットとしている読み手を想像して作り上げるのは至難の業です。会ったことも見たこともない人間を作り上げるのに労力を使うくらいなら、別のことに使いたいものです。
そのため読み手を想像するときは、具体的な誰かを思い浮かべ、その人に向けて書くようなつもりになりましょう。自分と同年代向けの文章を書くつもりならば、同級生の一人を想像するような感じです。
また、読者層に合わせて具体的な読み手を用意しておくと、どんなニーズにも対応できそうです。年齢、職業、立場などいろいろな層で分けられますね。
結論をハッキリさせる
文学作品のような文章に魅力があるものを除いて、文章で必要なことは結論をハッキリさせることです。
料理店の紹介なら、美味いのか不味いのか、いい店か悪い店か。映画のレビューなら、面白いのかつまらないのか、映画館で見たほうがいいのか、DVDでもいいのか。
なかには結論が単純でないものもありますが、それでも書き手は結論を決めておく必要があります。文章を書いて何を伝えたいのかが曖昧だとモヤモヤっとした締まらない文章になってしまうからです。
例えば、経済学者が「これから景気が良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれない」という結論のコラムを書いていたら、ガッカリしませんか?
このように、結論がないと意味のない文章になりかねません。
しかし、どうしても結論が見つからないという文章も出てくるかもしれません。いくら考えても時間が経っても浮かばない。もしどうあがいても結論が見つからないなら、書かないのも一つの手かもしれません。
または、どうあがいても結論が見つからないことを結論にして無理やり締めてしまいましょう。
まとめ
本書は、プロのライターになる人のためのものと何回も書かれており、
本書を読めば、誰でもプロのライターになれます。
とまであります。しかし、この文章の後には
万が一なれなかったとしたら、それはあなたに才能がないからです。その場合は、ライターになるのをあきらめて、他の仕事を探してください。
と続けてあり、著者のライターとしてのプライドを感じますね。
プロのライターを目指している人、文章で誰かの役に立ちたいと思っている人、面白いものを書きたい人はおすすめの一冊です。