実際のスパイ活動を知るなら『国家の謀略』
佐藤優『国家の謀略』を読みました。
外務省国際情報局でインテリジェンスに携わった元外交官の佐藤優が、インテリジェンスの仕事や各国のインテリジェンス、日本のインテリジェンスについて書いた本です。
インテリジェンスとは
インテリジェンスという言葉を見たとき、どこぞやの会社の名前か頭を使うスマートなデスクワークかと思いましたが、やはり違いました。
インテリジェンスとは、諜報、防諜、宣伝、謀略のことを指します。
正直、こう言われてもピンとこなかったので、私の中ではスパイ活動ということで落ち着きました。シヴィライゼーション5をプレイしたことがある人なら、原子力時代以降のスパイや外交官が行うことと思えば、本書は抵抗なく読めるはず。
つまりインテリジェンスとは、他国の機密事項を集めたり、スパイを摘発したり、情報を巧みに利用して国益に沿う行動をとったりする情報を武器とする国家間の戦いです。
その具体的な行動が本書には書かれています。
感想
とても面白いです。普段の生活では表に現れることのないことや、ある政治活動がインテリジェンスの立場からみると意味が変わるところが面白い。
本書では例として、当時のロシア大統領エリツィンの側近に近づくために、アントニオ猪木との会談を取り付けたら、側近との人脈を作ることができたというエピソードが書いてあります。
これを近年、北朝鮮に訪問したアントニオ猪木の行動と重ねてみると、訪問した理由が見えてくる気がするようなしないような……
また、スパイ活動と聞くと、007のような敵国に行ってドンパチする破壊工作が印象的だが、基本的には情報工作が主な仕事のようです。
ただし情報工作といえどやり過ぎると、毒を盛られたり(著者の実話)、怪我を負わされたり、最悪消されるとのこと。
もしかすると、インテリジェンスの仕事は007よりも非現実的なことを行っているのかもしれません。
あと、本書の最終章は「今日から伝えるインテリジェンスのテクニック」となっており、著者がインテリジェンス時代に培ったテクニックを紹介しています。
しかし、このテクニックが実生活でも役立つかどうかはなんとも言えません。私には使えそうにありません。そのため最終章に期待すると残念な気持ちになりますので、購入の際は気を付けてください。
まとめ
国家のインテリジェンスについて興味があるなら読んで損はありません。
インテリジェンスに興味がなくても、スパイ映画が好きなら映画の脳内補完に役立つと思うのでオススメです。