国の教育投資先は子どもではなく親にすべき『「学力」の経済学』
『「学力」の経済学』という本を読んでいて、ふと思ったことがあります。
国の教育投資先は子どもではなく親にすべきではないかということです。
子供が通う学校に投資するよりも、まずは親が子供を育てるために必要な正しい知識を身につける機会を作るべきではないでしょうか。
その理由は以下の三つです。
「どういう親のもとに生まれ、育てられたか」が学力に与える影響は大きい
「どういう学校に行っているか」と同じくらい「どういう親のもとに生まれ、育てられたか」が学力に与える影響は大きいそうです。
勉強=学校というイメージが教育においては強いですが、一日の半分以上を家庭で過ごすわけですし、幼児期はほとんど家にいるわけですからね。当然と言えば当然です。子どもの成績が伸びないと悩んでいる親の背景には、しつけをされずに幼児期を終えた子どもの存在があるのかもしれません。
学力を得るために必要な忍耐力ややりきる力を幼児期に身につけた子どもは、大人になってもそれらを身につけている傾向があるため、学力や年収も平均以上になる傾向があるようです。しつけはこれらの力を子供に身につける訓練ともいえるので、正しいしつけは子どものためになるのです。
ただ、正しいしつけを学ぶ機会が親にはないように思えます。
教育の費用対効果は、幼児期が最も効果があるから
教育の費用対効果は、幼児期が最も高いようです。そこからは右下下がり。高校や大学からでは大きな効果が得られにくいのです。
その理由は、学力はピラミッドのように基礎から応用へと積み重ねて学んでいくものだからです。足し算が理解できていない段階で、掛け算を理解するのは難しいですし、掛け算を理解できていないのに割り算を理解するのは難しいですよね。
早い段階で挫けてしまうと次の理解が難しいので、早い教育のほうが良いというわけです。
ただ、教育というのは勉強だけではなく、前述の忍耐力ややりきる力などを子供に身につけさせるのも教育です。これらを身につけるために、いろいろな経験をさせるのも教育ですので英才教育をすればいいというわけではないでしょう。
教育の収益率に対する情報提供が学力を上昇させる費用対効果の高い政策だから
教育の収益率に対する情報提供というのは、勉強をすることでどれほどお金になるのかという説明です。本書に書いてあった分かりやすい例を言うと、「高卒と大卒では生涯賃金が一億円違う。4年間大学に行くだけで、宝くじが当たるようなものだ」というものです。
たった四年間の投資で生涯賃金に1億円の差があるといった教育の経済価値を親と子供に説明し続けた政策です。
この政策はコストがかからず、2年行った少人数学級よりも5ヶ月のこれが高い効果が得られたようです。
このことから、教育を受けることの経済的な価値に対する誤った思い込みを正すだけで、子どもの学力は上がります。
さて、日本人はこのことをどれだけ理解しているのでしょうか。知っている人は多いかと思いますが、行動に移している人は少ないのではないでしょうか。
今後は子どもからの「どうして勉強するの?」という質問に対して「お金になるから」という答えを、子供にも伝わるように教えることが親にとって大切かもしれません。
まとめ
以上の三つから、教育の投資先は子どもではなく親にすべきです。
親になるための知識を得る機会を国や市町村が積極的に作るべきだと思います。教育方法を学ぶ機会は核家族化が進むとともに少なくなっていると思うので、義務付けてもいいのではないでしょうか。
誤った教育知識によって、不幸になるのは子どもです。せめて、誤った知識を正す機会が増えればと思います。
【関連記事】