のほほん感想録

本の感想や学んだことを主に書いてます。ビジネス書から小説、漫画までいろいろ読んでます。最近はゲームや株主優待も取り上げてます。

デビュー作とは思えない!舞城王太郎『煙か土か食い物』

舞城王太郎の『煙か土か食い物』を読みました。

この本を読もうと思ったきっかけは、前に読んだ「密室殺人ゲーム王手飛車取り」が面白く、舞城王太郎の他作品も読みたくなったからです。

 

作品の特徴

疾走感がある作品だと言われています。

その理由は、改行、句読点がなく、主人公の独白がラップのようなリズムを感じる文章であること。そして、中盤から終盤にかけて物語の展開がとても早いことです。

ラスト150ページは、あっという間に終わります。小刻みに読むより、一気にラストまで駆け抜けることで疾走感をより味わえるのではないでしょうか。

でも、着地はゆるやか。スカイダイビングみたいな小説です。

 

オススメポイントはどこ?

腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。

福井県の西暁町で起こった連続主婦殴打事件を通して、奈津川家の親子の確執、兄弟愛、そして家族愛を描いたミステリー小説。

あらすじを一言で言ってしまうと、こんな感じ。

 

ミステリーの要素よりも、奈津川家の家族関係を中心に描いているため、犯人探しが目的で読むなら、オススメはしません。

ならば、この小説のオススメポイントはどこでしょうか?考えてみますか。

 

主人公が魅力的なのか

主人公の四郎が超ハイスペックな人間で、アメリカでドクターやってて、何人も彼女がいて、事件の謎は、わずか2行ほどの超推理で解いて、喧嘩は超強い。

主人公が超人的スピードで謎を解いていくため、疾走感はあります。足止めを食らうこともなく、障害は全てぶっ壊して突き進むので爽快感もあります。

ただし、あまりにも四郎がハイスペックであるため、ハラハラ感はありませんでした。

 

地の文が良いのか

本書は、四郎の一人称で話が進みます。その独白が独特な点が面白いのかもしれません。

四郎の考えていることがセリフ以上に地の文に書いてあるので、四郎のキャラクターがわかりやすく、感情移入しやすいです。

例えば、あらすじに「ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!」と書きましたが、終始このノリです。これを受け入れられるなら、最後まで読めると思います。

 

あとは、地の文の疾走感ですかね。

何度も疾走感の言葉が出てくるので、おすすめポイントは疾走感だということで。

 

おすすめポイントは疾走感

この本の紹介文にもこう書いてあります。

破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。  

 疾走感がオススメなんです。飽きずに最後まで読めます。

 

そもそも、こんな癖のある小説を私の稚拙な説明力で紹介すること自体が間違いでした。

読めば分かります。

 

煙か土か食い物 (講談社文庫)

煙か土か食い物 (講談社文庫)