就活の時期になると、話題の一つに挙がるものが「履歴書を手書きで書かせるのが日本の悪しき習慣」というもの。
確かに、応募側は作成に1時間以上かかる手書きの履歴書を何枚も書かないといけないのだから、少しでも労力を減らしたい。そのためパソコンで印刷したものを提出したいという意見は分かる。私も就活時はそう思っていた。
手書きの履歴書は理にかなっている
しかし、手書きの履歴書は企業側の立場から考えると理にかなっているように思える。
企業が採用活動をする理由はなんだろうか。説明会で多くの人を呼ぶため? 一人でも多くの人材に履歴書を送ってもらうため?
いや、辞めない人材を確保するためだろう。
辞めない人材を確保するためには、自社に少しでも労力を費やす就活生を探さなければならない。そのような就活生を探す手っ取り早い方法が、手書きの履歴書だ。
庭に雑草を引っこ抜かせる方法
手書きの履歴書を用意する手間すら掛けようとしない人材を取ったところで、会社に残ってくれるだろうか。正直、熱意は低いはずだ。あっさり内定を辞退するか、数年で退社してしまう可能性が高い――手書きの履歴書を書く人に比べると。
手書きの履歴書から人となりは分からないし非効率だから、就活側はOpenESのような形態を好むだろうけど、採用側は少しでも熱意のある就活生が欲しい。
そのため、新卒一括採用の形態が終わるか、何十社も面接を受けようとする就活生が希少価値になるまでは、手書きの履歴書は残っているだろうし、就活生をふるいにかけるツールとして使われるだろう。
これを『0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる』では「庭に雑草を引っこ抜かせる方法」と命名していた。
このような方法は、就活で他にも使われている。面接の回数が他社より多い企業は、記念受験を少しでも減らすために行っているだろうし、筆記試験の難度が高いと前もって伝えている企業は、筆記試験のために努力をするのかを試しているのだろう。
最後に
就活は、企業側はいかに多くの人を集めるかに囚われ、就活生側はいかに多くの企業を受けるかに囚われがちだ。しかし、本来の目的は理想の人材と職場をマッチさせ、両者が納得して終えることにあるので、就職のミスマッチを避けるために選考過程の難化は間違っていない。
ただし、難化しすぎて説明会すら来ない企業になってしまっては元も子もないことを付け加えておく。

- 作者: スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー,櫻井祐子
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