『ソクラテスの弁明』の無知の知までを要約してみた
Photo:Sócrates By crlsblnc
無知の知で有名なソクラテス。
そのソクラテスが自分の信念を法廷で表明する姿を描いた『ソクラテスの弁明』を途中まで読んだので、裁判に至るまでの要約のようなあらすじを書いてみた。
告発者メレトスとの会話くらいまで。
ソクラテスさんの弁明
ソクラテスは神託を聞いた。
それは次のようなもの。
「ソクラテスは万人の中で最も賢い」
しかし、神がソクラテスを至賢とする理由や目的がわからない。そのうえ、ソクラテス本人も自分が賢明であるなんて考えたことがなかった。
そこで、ソクラテスは信託の正否を確かめる方法を思いつく。
「自分より頭の良い人を見つければいいじゃん!」
ということで、賢者と思しき人物と対談を繰り返す。
しかし、彼らとの対談から
「こいつ、自分が頭良いと思ってる凡人だ。俺のほうが賢明だ」
とソクラテスは感じた。
理由はこうだ。
私たち人間は、善や美なんて何も知らない、真理は分からないはずだが、賢者っぽい彼は何か知っているはずだと思い込んでいる。一方、ソクラテスは何も分からないが、分からないことを知っている。
だから、知らないことを知る知恵のあるソクラテスは、賢者っぽい人よりも少しばかり知恵は上だ、とのこと。
そこで、ソクラテスは彼らに「あなたは賢者ではない、あなたが知らないことはある」ということを説く。これが無知の知。
そしたら、その賢者とその周りの連中にブチ切れられた。これを繰り返したもんだから、多くの人間に嫌われた。
このようなことを繰り返したため、ソクラテスが真の賢者だと思われがちだがそうではない。
ソクラテスは、神託をこう解釈している。
「真の賢者は神であり、人の知恵など何の価値もない。けれども、もし人間から賢者を強いて選ぶなら、自分の知恵なんか価値がないと悟った者だ」
あくまで、人間界の賢者を代表する者がソクラテスだと言っている。
だからこそ、ソクラテスは神の代わりに前述の解釈を人々に広めて理解させるために、賢者っぽい人に無知の知クイズを繰り返すのであった。
この無知の知クイズは、一部の市民で密かなブームとなる。ソクラテスを真似して、賢者っぽい人々に「あなたはこれがわかりますか? あっ、わからないんですか。無知ですねー」というクイズを行ったのだ。
その結果、クイズに逢った人達は、自分が何も知らないことを知る。それにショックを受けた人々は、自分を責める代わりにソクラテスに対して怒りをぶつけた。
ソクラテスは多くの人に嫌われ、ついに教説によって市民を腐敗させる悪人だと告発されるのであった。
感想
やってることは、とんだクズ人間。
でも死を恐れず、主張を貫き通す姿はかっこいい。