のほほん感想録

本の感想や学んだことを主に書いてます。ビジネス書から小説、漫画までいろいろ読んでます。最近はゲームや株主優待も取り上げてます。

DeNAの元社長から学ぶ人脈と経営について/不格好経営

南場智子著『不格好経営―チームDeNAの挑戦』を読んだ。

『不格好経営』は、DeNAの創業者で元社長である南場智子氏のノンフィクション。創業時の失敗や資金集めの苦労、成長過程での七転八倒など、DeNAの裏側が赤裸々に書かれている。

 

人によっては、社長の心構えを知るためにビジネス書として読もうと考えている人、またビジネス書としか意識せずに読んだ人がいるかもしれないが、それはもったいない。

会社を創立してから日本有数のIT企業になるまでのドキュメントが非常に面白いのだから。

 

DeNA成功の鍵は人とコネ

会社というのは、法人とも言うが、創立されてから成長するか倒産するかという栄枯盛衰の過程は、人間の成長過程とも言えるかもしれない。会社の創立は簡単だけど、赤字から黒字にするまでには多くの苦労があり多くの人々に支えられている。

 

DeNAも例外ではなかった。

DeNAはマッキンゼーの第一線で活躍していた南場智子・川田尚吾・渡辺雅之の3人から始まった。マッキンゼーでは経営コンサルタントをしていたものだから、経営も上手くいくのかと思いきや、赤字だし、人手は足りないし、時間もお金も足りない。
しかし社員の努力やマッキンゼー時代の知人により軌道に載せていく。詳細は本書にてご確認を。

 

社長が痛感する人脈の正しい作り方

ここまで読んで、DeNAという会社は多くの人に支えられたことが伝わったのと共に、コネクションも大事だということを感じた。

 

ただ、現代はコネクションを作るだけなら容易い。

近年ではSNSが浸透しており、有名人や著名人に話しかけようとしたらTwitterでリプライを送るだけでいい。友達の友達と知り合うことも、SNSでは直接会わずに知り合うことが可能だ。

そんな世の中になったので、コネクションが作りやすくなった。だから起業も比較的容易なのかと思っていたが、南場氏の考えは違った。

本書で人脈について、 以下のように言っている。

 逃げずに壁に立ち向かう仕事ぶりを見せ合う中で築いた人脈以外は、仕事では役に立たないと痛感している。誰もが自分のことで忙しいときに、自分の仕事の最短ルートから少し外れてでも他の誰かのために何かをしようとするならば、それは、ひたむきな仕事ぶりに魅せられた相手に対してだけなのではないだろうか。


結局、SNSは仕事の役に立つコネクションを作る機会が増えたように見えるだけで、ただ知人を増やしているにすぎない。知人は仕事で助けてくれない。

仕事の役に立つコネクションを作りたければ、仕事で惚れさせろということだろう。

言葉では語らず、仕事をする背中で語る人間になりたい。

 

経営者と経営コンサルタントの違い

もう一つ、興味深いことを言っていた。

 

それは、経営者と経営コンサルタントはまるっきり違うことだ。
本書で経営者となって一番に苦労したことについて南場氏はこう言っている。

私が何に苦労したか。まず、物事を提案する立場から決める立場への転換に苦労した。面食らうほどの大きなジャンプだった。

A案にすべきというコンサルタントとしての提案は勇気など必要なかったのに、社長として決定するときは凄まじい勇気が必要になるという。

コンサルタントはあくまで責任がない立場であり、社長は会社を背負った立場である。
そこで、大きな違いを感じるのだろう。

結局、コンサルタントは外部の人間なのだ。良い意味でも悪い意味でも、会社内部の人間は考えもしない提案ができる。だから、コンサルタントという仕事は重宝されるし天狗にもなりやすい。

別に私はコンサルタントが嫌いというわけではない。ただ、当事者にしかわからない情報や考えはあるので、外部からとやかく言い過ぎるのは正しいとは限らない。自戒の念を込めて書き残しておく。


外野からの余計な口出しは止めよう。

 

終わりに

今回は、一番面白いDeNAの軌跡を紹介せずに好きなことを書いてしまった。しかし、上記の二つは本書で何回も表れるキーワードであるため、読み終えた人は頭に残っていると思う。

未読の人も、引用した南場氏の言葉に納得や共感できれば最後まで楽しく読めると思うので、ノンフィクション小説としてもビジネス書としてもオススメ。

 

以上、『不格好経営』からDeNAの元社長から学ぶ人脈と経営についてでした。

不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦