のほほん感想録

本の感想や学んだことを主に書いてます。ビジネス書から小説、漫画までいろいろ読んでます。最近はゲームや株主優待も取り上げてます。

『有頂天家族』狸と人と天狗の奇想天外な物語

森見登美彦『有頂天家族』を読みました。

読み終わってみると、なんだかよくわからない小説でした。

 

あらすじ

時は現代。下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。
今は亡き父の威光消えゆくなか、下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。
敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。多様なキャラクターたちも魅力の、奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー。

狸と人間と天狗の三つ巴を描いた小説です。まあ、三つ巴と言いましても殺伐としているわけではありませんが。

 

感想

有頂天家族という題名もあり、始めは、主人公の家族とその周りとの ほのぼの生活を描いた小説かと思って読んでいたのですが違いました。

 

215ページから、物語のギアを変えて急加速し始めたのです。その加速たるや凄まじいものでした。台風一過とはこのことか! なんて感じたものです。

その台風一過をもろに食らった私は、今このブログを書きながら、「よくわからん小説だったな」と思うわけです。

 

 

人物紹介や物語の背景を描く序盤は少し退屈でしたが、登場人物も出揃い、ラストまでの準備も整ったところで魅せる森見氏の腕力はすごい。クーラーのない部屋で読んでいましたが、暑さなんて忘れて最後まで読んでしまいました。引きこまれます。

 

キャラクターも魅力的です。

「下鴨四兄弟」の三男は面白く生きるをモットーに適当に生きていて、長男は真面目。四男は化けていてもすぐにしっぽを出してしまうほど気が弱くて、二男はカエル。
そんな個性あふれる「下鴨四兄弟」が噛み合う終盤は見ものです。

一方、赤玉先生や弁天など天狗側はクズばかりですが、なぜか憎めない。嫌悪感があるクズではなく、愛嬌のあるクズっぷりなのです。

そこらへんも森見氏の優れたバランス感覚によるものでしょうか。

 

最後に

結局、何が言いたいのかというと面白かったです。「よくわからん小説だったな」と思える余韻も心地よかったです。つい、余韻に浸りながら勢いで内容のない感想を書いてしまいました。

 

登場人物の説明を終えている続編は、今作で感じた序盤の展開の遅さを払拭してくれているのではないでしょうか。

機会があれば『二代目の帰朝』を読みたいと思います。

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

 

 

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