のほほん読書感想録

本の感想や学んだことを主に書いてます。ビジネス書から小説、漫画までいろいろ読んでます。最近はゲームや株主優待も取り上げてます。

ビッグデータの解析で明らかになった3つの人間・社会の法則

『データの見えざる手』を読みました。

この本は、ウエアラブルセンサという人に装着するセンサを利用して、24時間人間の行動を記録したビッグデータから人間社会の新たな発見について書かれたものです。

今まで理系の本は、興味が湧かなかったので読んでこなかったのですが、この本は興味のない私でも楽しめました。経済や経営といった社会科学が科学的に明らかになっていき、今までの人間や社会の常識が覆されていくのが面白かったです。

 

今回は、この本を読んで驚いた、ビッグデータで明らかになった人間や社会の法則をいくつか紹介したいと思います。

Photo:big-data_conew1 By:luckey_sun
Photo:big-data_conew1 By luckey_sun

 

人間の行動は決まっている

人が1日に行動できる回数は決まっていることが、ビッグデータによって明らかになりました。そのデータの要約は以下の通り。

 

人は、1日の中で約7万回の腕の動きをしており、人の行動の種類がランダムに決まるのならば正規分布になるはずだが、実際は1分間の身体の運動が増えるほど、その運動量が現れる確率は減っていく右肩下がりのU分布になっていった。

 

例えば、午前中は書類作成に力を入れて、午後からゆっくりするというような動きがこれに当たります。つまり、人間は7万回の腕の動きという1日の資源を、優先度の低い時間には温存して、優先度の高い時間に割り当てることを無意識のうちにしているのです。

活発な行動をして疲れて動けないと思うのは、疲労がたまっているからというより、行動回数が決まっているから動けないのかもしれません。

 

そう考えると、無意識に行動を判断させるよりは、なるべく自分の意志で判断したいものです。そのために、1日の中でどれくらい行動すると行動する気が無くなるのかを把握しておいて、その行動回数に合わせたスケジュールを組むと充実した1日を過ごせるのかもしれませんね。

 

人の幸福度は簡単に上げられる

ビッグデータによって、人の幸せをより正確に測ることができるようになりました。

今まで、人の幸せを測るには、簡単なアンケートに答えてもらい幸福度を判断していました。ですがウエアラブルセンサを使うことで、アンケートから分かる内面的な幸福度だけでなく、行動からも判断できるようになりました。

幸福だと判断できる行動とは、幸せな人ほど活動的になるということです。幸福度が高い人は、低い人に比べて活動量の立ち上がりが早くなり、活動量のピークが早くなります。早い段階から活動的に行動できるので、帰宅時間も早まるようです。

 

 幸福度が高いと、精神的に良いだけではなく、身体的にも良いことが分かりましたが、ではどうすれば幸福度を上げることができるのか。

このウエアラブルセンサを使った実験で、幸福度を上げる方法として行ったことは、週に10分「今週のよかったこと」を書いただけです。

それだけで内面的にも身体的にも違いが見えてくるほど、幸福度が変化するようですので、活動的になりたい人は試してみるといいかもしれません。

 

 

ビッグデータを利用した人工知能は人間を上回る

こういった実験が行われました。

まず10日間だけあるホームセンタでウエアラブルセンサを利用した計測システム*1を運用し予備的データを取得、この計測データを人工知能に分析させた。そして、1か月後にこの店舗の売上をどこまで向上できるかを、人間の専門家と人工知能との間で競ってもらった。ゴールは、来店した顧客が店内で使う金額を向上させることである。

 

要は、人間の専門家とビッグデータを利用した人工知能のどちらが顧客単価を上げられるかというもの。

 

人間の専門家は、売れ筋だと思われる商品群に力を入れる対策を考案しました。
一方、人工知能は店内のある特定の場所に従業員が居ることで顧客単価が上がると分析し、従業員がその場所に滞在している時間を増やすことを対策として挙げました。


その結果、勝ったのは人工知能でした。人間の対策は、店舗の売上にも顧客の行動にも影響を及ぼしていませんでしたが、人工知能の対策は、売上が15%向上したそうです。

 

このようにビッグデータとコンピュータを上手く利用することができれば、今まで人間が考えもしなかった方法から、様々な経営の対策を練ることができるかもしれません。今までのマネジメントのセオリーも、コンピュータからすると効率の悪いことをしているのかもしれませんね。

 

例えば現在、将棋は人間よりコンピュータのほうが強くなりました。この状態で次に行ってほしいことは、人間との対局よりも、第二回の電王戦で使われたスペックのGPS将棋に今までの定跡の分析です。新手が見つかったり、廃れていった戦法が復活するかもしれませんからね。

 

まとめ

これから人間行動は、予測できたり制御できる時代が来るのかもしれません。そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。何度も書きますが、とても面白かったので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

 

データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

 

 

*1:顧客や店員の動きや会話のパターンを計測することができるシステム