のほほん読書感想録

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日本軍の失敗から学ぶ、失敗する日本企業の特徴とは?

失敗の本質―日本軍の組織論的研究』を読んだ。本書は日本軍の失敗をもとに、日本の組織分析がされており、経営者が読めば会社経営に参考になる点も多いだろう。日本軍という組織が存在していたのは70年前のことだが、今の日本組織と変わらないところが多いと思ったのが読後の一番の感想だった。
 
そこで、今回は日本軍の失敗から、失敗する可能性のある企業の特徴を考えていきたいと思う。
 

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目的が曖昧

目的が曖昧だと、組織を正しい方向に向けるのは難しい。日本軍も目的が曖昧になってしまったために、失敗した作戦は多くある。

例の一つがミッドウェー海戦だ。その作戦目的は次のようになっている。
 
ミッドウェー島を攻略し、ハワイ方面よりする我が本土に対する敵の機動作戦を封止するとともに、攻略時出現することあるべき敵艦隊を撃滅するにあり。
 
前者はミッドウェー島攻略、後者は米艦隊撃滅を目的としている。一つの作戦で二つの大きな目的をもってしまった曖昧さから、ミッドウェー島攻略から米艦隊撃滅への転換に時間を取られるなどしたために、日本軍はこの海戦に大敗した。
 
一方、米軍側は目的を日本の空母の撃滅に集中し、「空母以外に手を出すな」という命令が戦力集中という点で有利な状況を生んだ。
 
 
目的の曖昧さは、仕事を集中させられない、組織の方向性が不明瞭になることなど、デメリットが多くあることから、組織のトップに立つものは常に目的を明確にさせておくことが重要である。二兎を追う者は一兎をも得ず。
 
 

空気に支配されている

合理的に判断を済ませなければいけない状況でも、日本軍は空気を優先した決断をしてしまい、大きな失敗を犯している。
 
たとえば、インパール作戦を策定したときに、牟田口中将の合理的でない「必勝の信念」に対し、補佐するべき幕僚は牟田口中将の作戦を止めさせるべきだったが、何を助言しても無駄だという空気に包まれてしまい、作戦を止めさせることを諦めてしまった。
 
作戦内容を誰が聞いても無理のある作戦であり、止めるべき立場であった上級司令部も組織内の空気を悪くすることを恐れ、作戦を止めたり変更させたりすることなく実行させてしまった。
その作戦の結果は、言うまでもない。インパール作戦は今も無謀な作戦の代名詞として語り継がれている。
 
 
こうした空気を重んじる組織は、科学的な判断や合理的な論理に基づく議論のなかでも、最終的な決断は空気に決定される。
論理的な議論ができる空気にならない組織は、思わぬ状況に陥ったときに柔軟な対応ができなくなるので、空気に支配されない環境や文化を作っていきたい。空気によって議論を終えることが多い企業は要注意である。
 
 
ちなみにインパール作戦について知りたい方は、こちらの動画がおすすめ。


08 インパール作戦 - YouTube

 

ものの見方が一貫している

芯が通っていて、始めから終わりまで考え方がブレない人間は魅力的かもしれないが、それが組織まで通用するとは限らない。日本軍も「物の見方」が強力で一貫したものに支配されていた。日本軍が支配されていた物の見方は以下のものである。
 
帝国陸軍は、陸上戦闘において勝利の鍵は、白兵戦による最後の銃剣突撃にあるという「白兵銃剣主義」
帝国海軍は、海戦において勝利を決するのは、主力戦艦同士の砲戦にあり、最終的には戦艦の主砲に依存するという「艦隊決戦主義」
 
この両者の物の見方は、終戦まで変わることがなかった。ここまで強い物の見方に支配されてしまった理由は、過去の戦争の勝利にある。
 
陸軍が日露戦争では激戦を銃剣突撃で勝利を収めたこと、海軍は過去の戦争では艦隊決戦で勝利を収めたことから、勝利の道筋がこれ以外考えられなくなってしまった。
さらに、物の見方は上司から部下へ浸透していくものなので、一度蔓延してしまったものを取り除くのは困難だと思われる。特に空気に支配される組織では。
 
 
現代にもこういったケースはないだろうか。
こうやれば上手くいったという上司の成功方法のみが部下に伝わっていき、他に効率的な方法があるのにも関わらず、改善することができないという企業。
 
成功体験を共有するのはいいが、その物の見方しかできなくなるのは、成長の可能性が感じられないうえに、状況変化に柔軟に対応できない。そんな組織では、目まぐるしい変化をする時代で生き残ることは難しいだろう。
 
 

組織内に変化がない

適応力のある組織は、環境を利用して、常に組織内に変化や危機感を作り出している。言い換えれば、組織が進化するためには組織を不均衡状態にしておかなければならない。

不均衡状態は、組織を活発化させ組織の中に多様性が生まれる。多様性が生まれ始めると、今までの組織の活動に対するチェックや疑問、新たな考えが生まれ始め、組織はさらなる進化を遂げる。


組織は、環境に適応することを目指しているが完全に適応してしまうと、これ以上の進化をすることができずに閉鎖的な組織へとなってしまう。

日本軍は不均衡状態であったと思われるだろうが、それは戦時だけであり、平時はとても安定している組織であった。決まった仕事を行い、怪我や病気に罹らず過ごしていれば大佐までは誰でも昇進することができる。そのような毎日を過ごしていた将兵らが、いきなり戦時に想像力と独創力を働かせ、誤りのない意思決定を行うのは難しかっただろう。

 

 組織を不均衡状態にするには、異なる情報や知識との交流、予想外の人材抜擢による権力均衡の破壊などがカギになる。安定にするために不安定を目指すというのは、なかなかおかしな話にも聞こえるが、不安定なベンチャー企業が大きな成長を遂げている状況を見ていただければ、不安定が成長の要因になることはわかっていただけるかと思う。

 

まとめ

 『失敗の本質』は、日本軍の失敗だけでなく、現代の企業にも当てはまるであろう失敗が多く掲載されていた。上には書いていないが、失敗した作戦から学習をしなかったことも日本軍の失敗の要因とされていたので、昔の失敗から学ぶためのテキストとして読んでみるのもおすすめである。

 

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

  • 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
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